愛犬が吐く行為は、そう珍しい現象ではありません。元々、四足歩行の動物は胃が横向きになっていて、また濃い胃液が出るために吐きやすい構造になっているのです。
老犬が吐いた後にいつもと変わらず元気であれば、病気に起因する可能性は低いので、さほど心配しなくてもよいでしょう。
犬によってはストレスを感じたり、誤飲でも吐いてしまう場合があります。この場合も様子をみて、いつもと様子がおかしいな、と感じたらかかりつけの動物病院に行くこと。
今回は、嘔吐と食欲不振が重なった場合に掘り下げてお伝えしようと思います。
老犬の嘔吐で心配される原因
老犬が、嘔吐した場合に心配される原因は、「フィラリア症、気管支炎、心不全、肺炎、肺水腫、溶血性貧血、巨大食道症、急性胃炎、胃潰瘍、慢性腸炎、胃捻転、胃拡張」など。
では具体的にどのような症状なのでしょうか。
溶血性貧血
溶血性貧血は、赤血球(酸素を全身に送り届ける機能を持つ)が、何らかの原因で破壊されたことが原因で機能を失い、溶血が起こり赤血球が不足してしまう状態を「溶血性貧血」といいます。
原因は様々ですが、犬個体の白血球が赤血球を攻撃することで「溶血性貧血」が起こります。遺伝的疾患ともいわれており、アイリッシュ・セッターやコリー等がなりやすい病気とも言われています。
そのほか、ネギ類など犬にとって有毒な食べ物の成分を摂取したことによって「溶血性貧血」になる場合があるため、ネギは絶対に食べさせてはいけません。
その症状は軽度であれば、食欲がなかったりする程度ですが、症状が悪化するとどうなるかというと、赤血球が破壊されると身体中に酸素が回らなくなり、呼吸が荒くなったり具合が悪くなり嘔吐を繰り返す場合も。黄疸がでるワンちゃんもいますので、動物病院で受診されたほうが良いでしょう。
巨大食道症
巨大食道症は、食道が伸びきってしまい食道と胃の間が狭くなることで食べ物がそこの長く留まるため具合が悪くなり嘔吐します。
さらにこの症状は胃に食べ物が入らなくなるため、食べては嘔吐、食べては嘔吐の繰り返し。この症状が続くほど衰弱してしまいます。
何度も嘔吐を繰り返すと、肺炎になる危険性もあるため注意が必要。
胃潰瘍
胃潰瘍というと、人間の症状を思い出すと思いますが、犬も胃潰瘍になることがあります。ストレスが原因となる場合もありますし、その他「病気、薬物、寄生虫」によっても発症する病気です。通常、胃では食物を分解する胃酸が分泌され、粘膜がしっかりと機能することで胃酸で胃が傷つくことはありません。
しかし、何らかの原因でバランスが崩れると強い胃酸が胃を傷つけてしまい、胃潰瘍を発症する。
初期の症状では食べ物を吐き、食欲不振がみられます。また、胃に痛いがあるため背中を丸めているような姿になります。
これが重篤な症状になると、胃の中の出血により吐しゃ物に黒っぽい血液が交じり始めます。発熱を伴う場合もあり、この状態を放っておくと腹膜炎をお引き起こし死に至ることも。
最初の嘔吐の後に食欲不振が続いたら、胃潰瘍を疑い病院に連れて行きましょう。
慢性胃炎
その名のとおり、慢性的に胃に炎症が生じている状態です。急性胃炎が1週間以上収まらなかったり、胃潰瘍、胃の腫瘍等が原因となる場合や、寄生虫、薬物により慢性胃炎になることも。
その症状は断続的な嘔吐を繰り返したり、食欲不振になります。また、食欲不振により体重減少を引き起こし、お腹を触ると痛がることもあります。
老犬が嘔吐と食欲不振を繰り返す時の対処法
老犬が嘔吐し、その後の様子を観察していつもとおりの元気があれば、病院に行かずに家で様子をみることも良いと思います。(急に状況が変わったら病院に行くこと。)
ただし、嘔吐のあとぐったりしていたり、元気がない、さらに食欲不振を繰り返す場合は嘔吐の裏に重篤な病気が原因になっているかもしれないので、迷わず動物病院に連れて行くこと。
我が家の愛犬も、一番最初にうちに来た時は白い泡(胃液)を吐きました。緊張していたんだと思います。
その時は様子をみて、元気があったから病院には連れて行きませんでした。結果、緊張に伴って吐いたよう。
吐いた後に元気がない場合は、何か病気になっているかもしれないから病院に連れて行くこと。
まとめ
老犬になると、内臓も衰えをみせはじめ消化器官がうまく機能しなくなります。
そうした場合も食事を吐いてしまい、食べたドッグフードが消化されずにそのまま出てくることも。ですが、その後の様子をみて元気で食欲があるなら心配ありません。その場合の対策として、ドッグフードを消化の良いものに変えるとよいでしょう。
ただし、吐いた後に元気がなかったり、ぐったりしていた場合。またその後、食欲がなくなっている時は注意が必要。
こうなったら、迷うことなくかかりつけの動物病院に行くこと。
シニア犬のフードについてはこちらの記事を参考に→シニア犬に最適なフードはコレ!老犬の症状別ドッグフードについて
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