ブリーダー崩壊など劣悪な環境から犬を救い出して、きちんとケアして、それから新しい里親さんに譲渡する。
こういった保護活動をしている人たちがいます。
最近レスキューしたのは、老犬の小さな小さな雌のチワワ。保護主さんたちは、レスキューしたらまず動物病院に行って検査をしてもらいます。病気はないか、けがはないかよく調べます。ここで病気が見つかれば、きちんと治療するのも保護主の役目です。
さきほどの小さなチワワ、夢ちゃんは目やにも酷くて、耳血腫もありました。しかし、これだけでは収まらなかったのです。
検査の結果、乳腺腫瘍は悪性のものでリンパへの転移もありました。そのうえ、ゲージからほとんど出たことが無かったのでしょう。歩き方がぎこちなく、散歩もしたことがなかったと思われます。
今、保護主さん宅にいる夢ちゃんはちゃんと治療を受け、散歩中も毎日して、元気そのもの。今までどんなところで暮らして、10年以上何匹子どもを産まされてきたのでしょう。
抗ガン治療も頑張っている夢ちゃん。これからは幸せがたくさん待っているからね。
Contents
癌になったらどんな症状なのか、痛みは?
犬の癌はとても多くなっています。癌の初期症状は、本当に些細、もしくは症状がでないので気が付かない場合も多いのですが、どのような症状なのかみていきましょう。
初期症状
愛犬が癌に侵された時、初期症状はほとんどないと言われています。もしあったとしても初期症状としては、体重減少、食欲不振、元気がない、など。
もともと、食が細い子などは気が付きにくいですし、体重がぐっと減れば分かりますが、初期症状の段階では目に見えて痩せる犬はほぼいない。
この他、嘔吐下痢を繰り返したり、微熱がでて「あれ?おかしいな」と思って病院に行って検査をしてみたら癌だったという場合も少なくありません。
犬の癌は痛みを伴う
祖父を癌で亡くし、癌の痛みは相当なものだったと想像できます。昔気質の男で、絶対に弱みを吐かない祖父でしたがその痛みは我慢できない様子でした。半分意識が朦朧としながら顔を歪ませ「痛い、痛い」と言っていたことが思い出されます。
犬も同じように癌になると、痛みを伴っているそうです。
犬と人間が違うのは、「犬はその痛みを隠す」というところにあります。なぜならば、犬は元々野生動物で、痛みを隠さなければ外敵に狙われますし、群れで移動する際に、けがをしていると仲間に迷惑がかかることを本能的知っているから。
だから痛くても、飼い主であるわたしたちにその辛い表情を隠そうとします。
わたしたちはちょっとしたサインから、彼らの不調を察知しなくてはいけません。
愛犬の痛みのサイン、この症状は注意!
- 食欲低下
- 足を引きずったようにして歩いている
- 触られるのを嫌がるようになった(触れられると痛いからですね)
- 攻撃的になる、今までと態度が変わった(こちらも触れられると痛いから)
- あまり動かずじっとしていることが多くなった
- 散歩に行きたがらなくなった
- 呼吸がいつもとちがう
- 頻繁に鳴くようになった
- 同じところばかりを舐めたり掻いたりする
末期症状末期の痛みは壮絶です。これは犬も人間も一緒。
この辛そうな状態から早く救い出したい、と迷わず手術や抗ガン治療をする飼い主さんもいるでしょう。
しかし老犬の場合、手術時の麻酔のリスクをしっておかなければなりません。
もともと犬は麻酔のコントロールが難しく、麻酔から覚めることが出来ずに亡くなることもあります。老犬は体力がだいぶ衰えているため、麻酔によるのダメージが大きい。
末期癌の場合、もしかしたらその場で余命宣告を受けるかもしれません。わたしたちに出来ることは、最期のその時まで愛を持って接してあげる、側にいてあげることだけだとおもいます。
ですから、後悔することがないようにあなた自身の想いを尊重して、介護してください。
愛犬のために出来ることは、全部する。自分が後悔しないように、です。
ちなみに、先ほどの夢ちゃんはおそらく15歳くらい。高齢なので手術という選択をせずに抗がん剤治療をしています。
癌について、こちらの記事も読まれています➡老犬が食べない・・・余命のことを少し話そうとおもう。水しか飲まない時にしてあげられること
癌の治療方法について
癌が疑われたワンちゃんは、まず、その腫瘍の診断を確定させるための検査と、どんな治療に耐えられるかの全身検査をします。
大抵、癌が疑われるのは高齢のワンちゃんが多いため、手術ですと体力がないと出来ません。また、とても弱っていて体力がなさそうな場合は抗がん治療も出来ないことがあります。
そして、次の検査は、「転移がないか」です。先ほどの夢ちゃんのように、例えば乳腺腫瘍が見つかりましたが、それは乳腺の中だけなのか、リンパ節にまで入っているのか、それと全身に転移しているのかを検査します。
その結果によって、治療方法も違ってきます。夢ちゃんの場合は、遠隔転移といって身体の中で乳腺とは遠い場所まで転移していたので、原則的に治療方法は抗ガン治療になり、手術は選択肢から外れました。
治療方法①手術について
治療方法として、一番多いのは「外科手術」です。転移がない場合、手術は一回で終わり、終わった後には確実に腫瘍がなくなっています。
ただ、全身に転移していると手術の治療効果が期待できない場合もありますし、手術の効果が見られない場合もあるのです。
手術を行わない例としては、全身のリンパ節が同時多発的に腫れてくる多中心型リンパ腫などは、手術が適用されません。同じ腫瘍でも、ステージ(どこまでがんが広がっているか)によって手術が有効ではない場合もあります。
だからこそ、癌の種類やステージ、転移の状況によって、治療法の選択が異なってくるため、きちんと先にきちんと調べる必要がある。
治療方法②抗ガン治療について
現在の医療においては、抗がん剤の開発も進んでいて、いい薬も出てきています。
ただ、必ず副作用がついて回る治療なのは確かです。
だから、何かあった時や、副作用が出たときにすぐに病院に行けるワンちゃんなら抗ガン治療を勧められますが、すぐにいけない子の場合、かえって可哀そうな結果になりかねません。
抗がん治療の中でも薬によっては、弱いものもあるので、昼間に留守番をさせているワンちゃんの場合、副作用がほとんど出ないような治療法にするという選択肢もあります。
この場合、リスクが低いため、治療効果も下がる場合があるので、獣医師とよく話し合って決めなくてはなりません。
治療方法③放射線治療
現在の日本では、あまり勧められない方法。なぜかというと、治療を受けにくいしお金もかかるから。
欧米に比べて技術者が少ないため、放射線治療ができる大学病院に依頼すると1カ月以上先になってしまうことも多い。一方、すぐに受け入れてくれる病院を見つけても遠方になってしまう。
また、根本的に治すためには週5回の治療を4週間、20回以上受ける必要があり、1カ月の入院になることも少なくありません。
そうやって時間もお金もかかるにもかかわらず、「100%効く」とは言い切れない。
放射線治療自体に発がん性があり、放射線を当てたところがただれてしまうといった放射線障害のリスクもあります。
それに、人間と違ってワンちゃんの場合、放射線治療のたびに麻酔をします。この麻酔のリスクはとても高く、容体が悪化したり、最悪の場合は亡くなってしまったりということもあるのです。
緩和ケアで大事なこと
手術は痛いとか怖いといったイメージがあると思いますが、現在の医療ではかなり変わってきました。
確かに、以前は大きな手術をするとすごく痛がっていたワンちゃんも多かったのですが、最近では、犬の麻酔科医の先生のおかげで、痛みの管理ができるようになってきています。
手術の際、神経に局所麻酔をする。これにより、全身麻酔の量も極端に減らせるメリットがあるそうです。
ワンちゃんは喋ることが出来ない分、余計飼い主や獣医師が慮ってあげないといけないのです。
また、がんを治して寿命を延ばすことはできなくなっても、とりあえず痛みをとる治療もすごく重要。
つまり、緩和ケアです。
緩和ケアは、悪性腫瘍など治療で完治しない病気が末期症状になってしまった時に、少しでもつらくないよう生活できるようにする管理のことです。
病気を完治させる目的ではなく、肉体的な痛みを和らげたり、精神的な不安を取り除き、日々の生活を送れるように注力した治療方法。
癌の末期は痛みが出ることが多い。以前なら、最期の2週間は何も食べられなくて、痛いのかずっと鳴き続けていた子もいましたが、現在の医療では痛みを取ることが出来るので、亡くなる数日前までご飯を食べられたり、散歩に行けたりというケースもあるそうです。
緩和ケアは、飼い主さんと獣医師の二人三脚で行います。犬のストレスを緩和するために、病院ではなく、住み慣れた自宅で行われます。
繰り返しますが、緩和ケアにおいて大切なのは、愛犬の肉体的な痛みを軽減させること。痛みがあると、体を動かせない、呼吸も浅くなる、そして食欲も無くなる。食べものを摂取しないから内側からエネルギーが湧いてきません。
痛みがあると、愛犬が凶暴になってくケースもあります。痛いからイライラするんですね。
緩和ケアには痛みによる体の不調や心の痛みも軽減させる目的があります。
介護は飼い主さんにとっても辛い。愛犬が苦しむ様子をみるもの辛いし、生活のリズムが狂うのも実は辛い。介護疲れによって、愛犬のお世話が出来なくなっていくなんて誰も望んでいない。
だからこそ、獣医師さんとの2人3脚で一丸となって、緩和ケアを取り入れましょう。愛犬の痛みと飼い主さんの心の痛みを取るという大きな意味もあるのです。
「病気になり、余命宣告された老犬の話」はコチラ→老犬が食べない・・・余命のことを少し話そうとおもう。水しか飲まない時にしてあげられること
いつか必ず訪れる最期について
保護活動をしていると、病気のワンちゃんに出会うことも多いです。
獣医師に聞いたところ、検査をして診断された時点で、延命はできるけれど最終的には治らないとわかるケースはたくさんあるのだそう。
もし自分の愛犬が癌になったら、最大限の治療を受けさせたいと思います。しかし、痛みや苦しみを取ることが出来ないとしたら、どうでしょうか。
多くの飼い主さんが気にされるのは「このまま痛みや苦しみが続いたら、可哀そう」ということ。
だから、「動物の場合は、安楽死という処置が取れます。倫理的にも法的も許されている方法なんですよ。」と獣医師の方から声を掛けることもあるそうです。
最後の苦しい時間が長くなってしまい、ワンちゃんと飼い主さんの思い出が辛いものばかりになってしまうことは、あまりにもつらい。
安楽死という選択は、わたしの中ではほぼ無いのですが、もしかしたら、場合によっては痛み・苦しみを取ってあげる究極の治療なのかもしれません。
ちなみに、外国の方の話を聞くと、欧米人は安楽死の判断をするタイミングが日本人に比べて早いそうです。
犬が他人を噛んでしまった、病気と診断された、高齢で癌の治療が出来ないと分かった、そんな時に迷わず安楽死を希望される飼い主さんも少なくないのだとか。
安易に安楽死を選択することは避けたいのですが、犬も高齢化してきていて、さらに医学も発達し、病気になったワンちゃんでも治療し延命され、命の長さを引っ張ることができてしまうけれど、それが果たしていいことかどうか。
命の時間は延びたかもしれないけれど、ワンちゃんも大変そうだし、治療をさせる飼い主さんが疲れ果てているというのは、何か違和感が残ります。
この問題は非常にデリケートなので、今後も時間をかけて考えていこうと思います。
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